2017年9月9日土曜日

「森薪塾2017」第2回講習会 森の将来を考えて 間伐と搬出



 当日は台風の影響で悪天候の予報でしたが、好天に恵まれとても爽やかな1日でした。参加者は6名。旭川市内を始め、札幌市や下川町からもご参加いただきました。



 今回のテーマは人工林の間伐と搬出です。東鷹栖の山に入り、まずは人工林の林内を観察します。研修場所は35年生の混み合ったうす暗いトドマツ林です。現在は人工林ですが、強めの間伐によって日当たりを良くし、天然の広葉樹を増やして針広混交林に誘導しようという施業方針になっています。ここで大切なのは「選木」で、数十年後、森の主役になる「将来木」を選び、その成長に支障となる木を間伐します。参加メンバーの方々はチームに分かれ、幹や枝張りの状態、太さ、高さなどから「将来木」選び、その周囲から間伐木を選びます。間伐木をどこにどう倒すのかを想定し必要であれば倒すスペースを開けるため、さらに1、2本伐倒木を選びます。ブドウヅルや枝張りをよく観察し倒す方向、順番を決めます。



 そして、いよいよ伐倒にかかります。まずは伐倒木の足元をきれいにし、退避場所を確保します。そして倒す方向を見定め、慎重に受け口を作ります。できた受け口が狙った方向を向いているか再度みんなで確認し、必要なら修正を加えます。受け口ができたら追い口です。最終的にどこまで切るか、角度に気をつけながら慎重かつ大胆にチェンソーを入れていきます。

 
 
 みなさん上手に狙った方向へ倒すことができました。気持ちよく木が倒れたところでお昼になり、森の中でお弁当を食べ、焚き火でお湯を沸かしてコーヒーを飲みました。森の中のコーヒーは格別の味です。
 
 午後はかかり木の処理と搬出です。午前中の伐倒でみなさん上手に倒すことができので、わざわざかかり木を作りました・・・。かかり木の根元をチルホール(ハンドウインチ)を使って手前に引いていきます。チルホールのレバーを前後に動かし、少しずつ根元を引きます。やがて、かかっていた枝などから伐倒木が外れ、地面に落ちます。地面の状態にもよりますが、それほど力はいりません。

 

 次に搬出です。倒れた木の枝をきれいに払い、丸太の状態にします。それにロープをかけPCウインチ(エンジン式ポータブルウインチ)で道路脇まで引いてきます。この時大活躍するのがログキャップ(写真中央の黄色い物体)です。丸太の先端にログキャップをかぶせるだけで、障害物をスルリスルリとよけて行きます。



  

 最後に少し移動し、間伐の効果を実感できる森を見にいきました。研修を行った森と同じトドマツ林でしたが、樹間(木と木の距離)が広くそれぞれの木が太く背が高いです。さらに林床には広葉樹の苗木がたくさん生えています。一般的に林内が明るくなるとササが侵入しやすくなりますが、この場所は「ササは侵入できないが広葉樹は成長できる」という微妙な明るさを保っています。間伐の仕方でこんな微妙なコントロールが可能なんですね。
 

 今回はプレスクールを含めると3回目になります。みなさんのチェンソーの扱いが上達していることを実感できる研修でした。参加メンバーの方々から「理由をはっきりさせて考えて伐ることが大切だと思いました。」「ログキャップの効果に驚いた。」「「かかり木処理の仕方が勉強になった。」などの感想をいただきました。メンバーの中には山林を所有している方や最近購入した方もいらっしゃいましたが、今回の研修で学んだことをそれぞれの森づくりで生かしていただければと思います。


 (中村)