2015年9月30日水曜日

突哨山―続・ぴぴの路間伐&イベントのお知らせ―

しみずです。

前回紹介したぴぴの路でのカラマツ林間伐の続きです。
今回用意したものは、ホンダの4サイクルエンジンを搭載したポータブルウィンチです。黄色の「集材帽子」までセットでついてきました。

これは、伐倒した木を遊歩道まで引っ張り出すときに役に立ちます。
使い方はシンプルで、運びたい木にロープ(僕らはスリングロープを使用)をかけ、ウィンチ本体に木と繋がったロープを数回巻き付けてエンジン始動。

すると、本体に巻き付けたロープがエンジンの力でドンドンと巻き取られます。
人間はロープの巻き取り補助につきます。
集材帽子(黄色のもの)があるので、地面の枝葉や立木にぶつかった時の抵抗などもかなり軽減してくれます。
上と下の写真は連続写真です。立木にぶつかっても〝するん!″と抜けていきます。

ここは遊歩道が細く、何より多様な植生が遊歩道沿いにあり、散策に適した山ですので、重機を入れないで作業をしています。
ですので、今回のポータブルウィンチはとても活躍しています。全幹のまま(1トン近い重さ)、遊歩道まで引っ張ってこられるので、玉切り後の丸太をまとめて置けます。

この現場に関しては、集材だけを小型林内作業車「やまびこ」と比べると、コスト・実用面で勝っていると思います。
やまびこにもウィンチがあるので集材することもできますが、「やまびこ本体をトラックで運送する必要がある」、「作業するのに場所が制限される(遊歩道上からしか利用できない)」、「空身だとひっくり返ることがある」などがあります。

その点、ポータブルウィンチは40cm四方に収まるサイズで、重さは約15kg。自家用車などの座席に置いて運べます。場所をほとんど選ばず、林内でも小回りが利きます。ちなみに燃料はガソリンで、かなり低燃費。
こうした点から、ちょっとした山の手入れのお供として持って行けて、なおかつパワフルで頼れる!といったところが魅力的です。
・・・まぁ山で15kgを運ぶのは大変ですが。

しかし、集材した後の木材を運ぶのは、やっぱり「やまびこ」が頼りです。やまびこがなくても、軽トラがあれば運べます。
今後、小さな山林、重機が入れない山林、ちょっとした手入れの時に、ポータブルウィンチ+軽トラのお手軽集材・搬出ができそうです。

・・・さて、これに関したイベントを行います。


★★★ イベント情報 ★★★

10月31日(土曜日、午前9時から正午)に、「突哨山カラマツ林、搬出・間伐体験inぴぴの路」を開催します(主催比布町、協力もりねっと)。

・内容は、ぴぴの路に植栽されたカラマツ林の解説、間伐の様子を見てもらったり、実際にブログで紹介したポータブルウィンチとやまびこを使って、木材の集材と搬出を体験してもらう予定です。
伐倒はもりねっとスタッフが行いますが、ポータブルウィンチややまびこの操作は、スタッフ指導の元に体験できます。どんなものか見てみたい方はぜひ。
このイベント当日に、ブログで紹介していないポータブルウィンチの詳細や他の活用方法なども併せて紹介します。
・チラシはこちら(自動でジャンプしませんので、コピーして検索してください)
http://www.morinet-h.org/news/img/20151031.pdf

2015年9月4日金曜日

突哨山―ぴぴの路、カラマツ林の間伐―

しみずです。


現在、突哨山の「ぴぴの路」に面したカラマツ林を間伐しています。
この林も、植林後一切手を付けられずに経過してきたので、実に46,7年ぶりの間引きになります。光の取り合いに負け、枯死したカラマツも少なくありません。


突哨山のカラマツは、他のトドマツ、ヨーロッパトウヒに比べ成長が良く、樹高も20~25mほどに伸びています(※ほぼ同年代のトドマツ林は、樹高が10~15mしかありません)。胸高直径(太さ)は20cm~30cmほど。林縁部の光が当たる場所では、30cm以上のものもありますが、稀です。
今回の間伐対象区に設けた20m四方のプロットを調べると、平均の胸高直径は19cmでした。樹高はあるが細いといった状態です。

林内は、トウヒやトドマツ林よりも無間伐状態でも光がある程度、差し込みます。ですので、広葉樹などの種が飛んでくると、生長できるようです。ハリギリやアズキナシ、カエデ類やナナカマドなどが樹高1m~10m前後で生えています。ササが生えてないのを見ると、ササにとっては暗すぎて、広葉樹にとっては問題ないというそういう明るさの境界線でしょうか。ササがないのは非常に、見通し&作業のしやすさが良いので、助かってます。

しかし、このままだとカラマツにとっても広葉樹にとっても、窮屈な思いをさせてしまいます。


今回の間伐方法は、主に列状間伐(1列全部を倒して隣接する3列は残す)ですが、場合によっては定性間伐(太く活力のある素性の良い木を残して隣接している木を切る)をしています。

僕にとっては初めての列状間伐でした。1列ずらっと伐倒していく。切った後はこんな↓様子です。
ドミノのようにバタバタと倒れています。
定性間伐と違って、「倒しやすい!」のが第一印象。
1本倒した後の空いた空間に、後ろの木を倒し、そのまた後ろの木を同じ場所に倒し・・・。という要領ですので、スムーズに倒せます。

定性間伐だと、隣接する木に寄りかかって倒れない「かかり木」になり、時間も労力もかかることがあります。


樹冠の空間もタテ一列に空きます。


・・・そして列状に切ることで、倒した後の木材の搬出も楽でした。
今回、もりねっとでは、木材搬出が楽になる「秘密兵器」を購入しました。
これがあれば、重機が入れない山で、軽トラとセットで使えば、楽々と山主が搬出できるでしょう。


それは・・・《次回へ続く》