2018年7月8日、久しぶりの青空の下、今年の森薪塾が始動しました。
今回の参加者は2名と少なかったですが、その分充実した内容になりました。
今回の参加者はほぼチェンソー初心者で、お1人は薪ストーブに、もう1人は森づくりに興味があっての参加でした。
まずはチェンソーの各部装置の説明から始まり、保持姿勢、エンジンの始動、スロットルコントロール、またキックバックなどの注意事項なども、1人1台ずつチェンソーを持ち、実際に操作しながら細かく解説を受けました。
続いては丸太の玉切り。右手のスロットルコントロールと左手の加重のかけ方の感覚を確認しながら切っていきます。下から丸太を半分切り上げ、上から合わせて切断するのはちょっと難しかったです。丸太の中央にチェンソーの刃を入れる「突っ込み切り」は、立木の伐採に活用する基本技です。
薪作りを想定し、積み重ねた丸太を切りそろえる作業もしました。バーが挟まれたり、キックバックが起きたりと、なかなか大変です。挟まれたバーの脱出方法や挟まれないための切り方も学びました。
午前中の最後は薪割りです。安全な薪割り姿勢や樹種による割れ方の違い、コブや二股など手強い丸太の攻略法を体験しました。。
午後からは東鷹栖の広葉樹林に入り、森づくりの基本を実習しました。この森の来歴や育成方針、広葉樹林の間伐方法などの説明を受け、その考え方に基づいて間伐する木を選びます。まずはこの森の将来を託す「主人公」となる木を選び、その木の妨げになっている木を倒します。お2人それぞれに選んでいただきました。
本番前に切り株を使って、伐倒のための受け口、追い口の切り方を練習しました。北欧方式なので、受け口の斜め角度は70度、追い口は受け口と同じ高さです。日本の従来方式との違いや、その理由も解説がありました。チェンソーを水平や斜めに安定して動かすのは大変ですが、今日の塾生はなかなか筋がいい!
さらに少し太めの木では、「追いヅル伐り」という突っ込み切りを使った倒し方を練習しました。この伐倒法は、受け口を作るところまでは同じですが、追い口側の幹にチェンソーのバーを突っ込み、ちょうつがいの役割を果たすツルを先に形成した後、最後に追い口側の後端を切断する方法です。木が倒れるときにちょうつがいの役割を果たし、伐倒の精度を左右する「ツル」を安全にじっくりと作ることができます。
いよいよ本番。それぞれに選んだ木を倒します。胸高直径(地上1.3mの直径)25センチ、樹高20メートルのシラカンバを選びました。慎重に倒す方向を見定め、そこに向かって直角に受け口を作ります。練習した突っ込み切りでツルを作り、最後に追い口側から切り離します。木は2本とも、見事に狙った場所にゆっくりと倒れていきました。
日本のチェンソー教科書は達人のやり方をそのまま教えています。それは早くてきれいな方法ですが、上達するには時間がかかり、その間に危ないこともあります。
「もりねっと」が採用する北欧メソッドは、「初心者は間違う」ことを前提に、間違ってもやり直しがきく、致命的な危険につながらない、安全に、着実に進める手順で行います。夢のある森づくりでケガなんかしたらつまらない。安全は、自分のために、本気で実現するものです。
伐倒した後、空を見上げました。森の天井にぽっかりと空間が広がっています。「将来の木」に選んだハリギリやミズナラに太陽の光が降り注いでいます。
お2人とも「普段なかなかできない体験ができた」「森が動き出す実感がある」と満足そうに話してくれました。
もりねっとでは「森薪塾2018」の受講生を募集しています。途中からの参加も可能ですのでお問い合わせください。
次回は9月2日(日)人工林の森づくりと間伐です。
このプログラムは「株式会社かんぽ生命保険」の協力によって運営されています。
(中村)
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