2018年9月27日木曜日

森薪塾2018 第2回講習会を開催しました。





2018年9月2日、今年2回目となる森薪塾2018講習会を実施しました。今回のテーマは「森を読む」と「人工林の間伐実務」です。会場は旭川市東鷹栖のポンヌプリでした。

 まずは路網を造成し、混交林化を図っているトドマツ人工林の見学。58年生のトドマツ人工林で、「もりねっと」が四万十式作業道を造成し、間伐を行った森です。この作業道は、植物が生える表土は路肩に積み、路盤は地中の無機質土を深く掘り返し、しっかり踏み固めて形成します。造成から5年経っても路面は平坦で、雑草も少なく、歩きやすい「森の道」です。路幅は最小限で、支障木として伐る木も少なくなっています。
斜面に平行に走る道と道の間隔はおよそ50mで、高さ20mの木をうまく倒すと作業道から引き出しやすい位置に来るようになっています。
この森は皆伐をして植え直す人工林のサイクルから解放し、多めの間伐によって広葉樹を増やして、将来は永続的な針葉樹と広葉樹の混交林に変えていくことを目指しています。間伐によって残されたトドマツが太くなっていますが、同時に林床に太陽光が入ることでイタヤカエデやハリギリ、ミズナラなどさまざまな広葉樹の幼木・若木が茂り始めた様子を見ることができました。
「伐ることで森を育てる」…間伐で森が動き出す様子を実感しました。次に広葉樹が中心の天然林エリアを見学し、続いていよいよ間伐トレーニングを行う若いトドマツ人工林に移動しました。





   33年生で間伐があまり行われていないトドマツ林は、先ほどの間伐されたエリアと比べ細くひょろ長い木が密集し、林内は薄暗く、林床にはほとんど何も生えていません。
 間伐の基本プログラムはいつもと同じです。森の将来を託す元気な木を選び、その成長の支障となっている木を伐ります。森の多様性を高めるため、広葉樹は細くても優先的に残し、隣の太いトドマツを倒すこともあります。受講生の皆さんに伐る木を選び、その理由を説明してもらいました。



 伐る木が決まったらいよいよ伐倒です。周囲の木に掛からないよう、どの方向に倒すか慎重に見極めます。ただし間伐遅れのこのエリアは木と木の間が狭いので、なかなか難しいです。
 倒す方向を決めたら受け口を作ります。受け口が正確に目標に向くよう、切り口を丁寧に合わせていきます。達人なら一回でぴたりと決めますが、初心者は最初は浅めに、何度も確かめ、やり直しができるようにするのがコツです。受け口ができたら追い口を切り、ちょうつがいとなる「つる」がうまくできていれば、木は狙い通りに倒れていきます。
 想定どおりスムーズに倒れる木も、隣の木に掛かってしまう木もありました。またこの場所はヤマブドウやコクワなどのツル植物が多く、絡んで倒れてくない木もありました。掛かり木になってしまった場合は根元の「つる」を切り離し、フェリングレバーと呼ばれる道具で幹を回して倒します。根元をロープで引いたり、回したり、知恵も力も必要な、一番の大仕事です。
間伐では掛かり木にならないよう、少々手間がかかっても正確に倒すことが、安全面でも大事だと身にしみます。

 今回の講習ではかなり実践的な伐倒練習ができたと思います。森づくりや間伐の考え方が分かっても、いざ木を倒すとなると様々な障害が立ちはだかります。木は枝ぶりや傾き、周囲の状況など一本一本が異なります。十分な知識や経験がない中での伐倒作業にはとても危険です。
 森薪塾を通して、安全で楽しい森づくりの知識や技術、経験をさらに深めていってほしいと思います。

 次回の森薪塾は10月8日(月祝)です。テーマは「森の見学会」です。道有林で試験的に行われている育成天然林施業の現場を担当職員の方から直接お話を聞くことができます。また午後は21世紀の森を訪ね、原生的な森を歩く予定です。参加ご希望の方はメール(maki@morinet-h.org)または電話(0166−76−2006)までご連絡ください。
(中村)

<このプログラムは株式会社かんぽ生命保険の協力によって運営されています>

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