今回講習を実施した1月13日は旭川市の最低気温が−18.4℃、江丹別では−29.5℃を記録した日でした。
今年最後の森薪塾となったこの日の参加者は6名。旭川3名、札幌1名、清水町1名、そして帯広から前回も参加していただいた帯広畜産大学の女子学生が、今回は一人で参加していただきました。
今回のテーマは「雪の中で広葉樹林の手入れ」です。これまで本格的な伐倒は針葉樹人工林でしか行なっていませんでしたが今回は広葉樹林です。
まずはみんなで森の中を見渡し、この森をどういう森にしていきたいのか将来の森の姿を想像しながら森づくりの方法を考えていきます。
今回の研修フィールドは数十年前に畑だった場所で、現在はシラカンバが多く自生しています。寿命の短いシラカンバを伐り倒し、硬くて寿命の長いミズナラやハリギリなどが成長する手助けをします。将来残って欲しい木を選び、その成長の妨げになっている木を伐倒木として選びます。
倒す木が決まったら、その木をどの方向に倒すのか慎重に判断します。針葉樹に比べて枝の張りが広い広葉樹は周囲の木に掛かりやすく、倒れる時に残したい若木を痛めてしまう可能性もあります。さらに重心が偏り、分かりづらいため、倒したい方向とは別な方向に倒れることもあります。そういった様々な要因を読みとりながら伐倒方向を決めていきます。これまでの混み合った針葉樹人工林とはまた違った難しさがあります。
倒す方向を決めたらチェンソーで受け口を作ります。この受け口の方向でほぼ倒れる方向が決まるため、慎重に修正しながら作っていきます。
受け口ができたら追い口を切っていきます。今回は追いヅル切り(スイッチ・カット)という方法を使いました。追いヅル切りは受け口と平行にチェンソーを幹の中心部へ突っ込み、先にツル(ちょうつがい)を完成させ、その後、追い口方向の一部分だけを残し追い口を完成させます。この残った部分をスイッチと言い、最後にスイッチを切ることで木は倒れ始めます。直径25センチほどあればこの方法が使え、スイッチ部分が繋がった状態で安全にじっくりツルを作ることができます。またクサビを打ち込んでおくことである程度倒れる方向を補正することができます。
今回参加された常連の方々はチェンソーの扱いにも慣れてきて、かなり狙った方向へ倒すことができましたが、広葉樹特有の枝張りや周囲の木の影響が読み切れず掛かり木になってしまうこともありました。今回は無理をせず掛かり木はそのままにし、雪が溶けてからウインチなどで引き倒すことにしました。
うまく倒れた木を使い枝払いの練習もしました。広葉樹の枝払いは様々な方向に伸びた枝に複雑に力のかかった状態で行います。どこにどんな力がかかっているのかを考えながら一本一本切っていきます。一つ間違えるとチェンソーバーが挟まれて、助けを呼ぶことになってしまいます。
今回はとても寒い中での講習でしたが、安全に配慮しながら無事に講習を終えることができました。
今回参加された方々の感想です。
・広葉樹の動きが読み辛く難しかった。練習あるのみ。
・狙ったところには倒れたが掛かってしまった。枝払いが難しかった。
・森づくりを前提として倒したい方向に倒すという考え方が新鮮だった。
・受け口の角度やスイッチの大きさを想像しながら作るのが難しかった。
など、常連さんは広葉樹の特性に苦戦し、初心者の方はチェンソーの扱いが難しかったようです。
もりねっとでは来年度もこのような講習会の実施を計画しています。春頃にもりねっとのホームページ(http://morinet-h.org)などでご案内させていただきます。興味のある方は直接ご連絡ください。
連絡先 電話0166―60−2420 メール ask@morinet-h.org
このプログラムは株式会社かんぽ生命保険の協力により運営されています。
(中村)