2014年4月23日水曜日

森っこプロジェクト トランクキット編

佐野です。
今朝は北海道新聞「人」の欄に載せていただきました。
写真入りで、しかも年齢まで。トランクキットの宣伝になるなら、仕方ないかぁ・・・・

前回、書ききれなかったトランクキットについて、お話します。
 

















トランクは動物パックと植物パックの二種類。
動物パックは主にヒグマ、エゾシカの頭骨や毛皮(ツメやヒツメ付き)、ネズミやコウモリなど小動物の剥製や頭骨標本と、クマ歩き体験マット。
植物パックは、タネや冬芽、実生のアクリル標本。ミズナラやトドマツ、ハルニレやシラカンバなど身近な樹木が中心です。年輪を数える輪切り標本や板目を見る縦切り標本もあります。

トランクの中身やモデルプログラムについてはWEBページを準備しているところですので、連休明けには公開します。少々お待ちください。
ここでは、トランクキットを使用した時の様子や子供たちの感想などをお話したいと思います。

トランクキットの試用は、幼稚園と小学校でモデルプログラムを実施しました。
幼稚園では、とにかく触る、ということを中心に。40分程度のプログラムを作りました。
ヒグマやシカの毛皮には全く抵抗なく、その上に寝てみたり、中に入って獅子舞状態で走り回ったりしていました。ネズミやコウモリの剥製は、喜ぶ子と気持ち悪いと逃げる子もいましたが、いつの間にか触っていたり、わずかな時間でみんなが触れることができました。
ネズミの指を数えて、「5本ある!」と不思議そうに言う子、コウモリとネズミは似ている、ヒヅメは固いなど、子供らしい発見がいっぱいでした。大人は、長さや重さなどデータとして動物を認識しがちですが、幼児の場合は、自分の体と違うところ、自分よりも大きい小さい、匂いをかいでみるなど、五感を駆使して動物を感じていました。
小学校では、子供たちにいっぱい触ってもらうために、1クラス1時間の授業を実施しました。
2年生と3年生は動物についての調べ学習がある、とのことでしたので、動物トランクを。
5年生では、森や林業について学んだ、とのことで、植物トランクを使いました。

動物トランクモデル「ヒグマについて考えてみよう!」
まず、子供たちが知っているクマのイメージについて整理。ニュースやマンガが情報源のようで、クマのイメージとして、
 ・大きい
 ・森の中に住んでいる
 ・肉食(ヒトを食べるという意見もあり)で、ハチミツが好き
実際にはどうなのか? 写真や実物で検証。
クマは旭川にいるのだろうか・・・クマに出会ったらどうする?
昔からクマと出会ったら”死んだふり”が定番だと思っていたが、逃げる、戦う、という意見が多かったのは以外だった。(死んだふりしたら襲われる、と思っているのかも)
<終了後の子供たちの感想>
 ・クマ歩きは難しかった。あの歩き方で早く動けるのはすごいと思った。
 ・動物園に行ったら、ヒグマをよく見てみたいと思う。
 ・他の動物のことも調べてみたい。肉食の動物の歯を見てみたい。   など。

植物トランクモデル「木のことを知ろう」
身近な木製品を探してみる。机、いす、家など。無垢板、集成材など、色んな形で木が使われている。板目と年輪の話をして、実際に年輪を数えてみる。年輪の幅はいろいろで、同じ樹齢でも太さが違うのはなぜ? ということから森の中の話へ。
家具などの材料になるのは、主に40年生以上の広葉樹であり、まっすぐに太く成長するために、競争をしている。死んだ木も虫の住処になったり役に立つ。実際に枯損を持ち込み、ボロボロと崩れるのを体験。
<終了後の子供たちの感想>
 ・色々な年輪があるのが面白かった。
 ・今日は年輪や板を見たので、今度森に行って立っている木を見てみたい。
 ・木が競争しながら大きくなるという話を聞いて、人間と同じだと思った。

子供たちの感想の多くは、実際に見て見たい(標本でなく、森や動物園で)というものでした。
室内から森へ、子供たちの興味は確実に広がっているようです。
今後も、トランクのコンテンツはどんどん増強します。モデルプログラムも増えていきます。もっといろんな場所で、いろんな使い方がありそうですね。

森遊びから、森林環境教育へ。
発見できた、楽しかったの森遊びから、何がどこに繋がって、自分にできることは何?を知る森林環境教育へ。
もりねっとが目指す”人と森をつなぐ”活動は続きます。


なお、トランクキットの貸し出し及び出前授業については、佐野までご連絡を。
子供たちにこんなことを知ってもらいたい、空いている時間があるので何か・・・・などなど、プログラムの作成は相談しながら、ニーズに合ったプログラムを提案します。
また、森遊びやトランクキット授業をサポートしてくれるスタッフも募集します。
連休明けぐらいには、WEBで募集します。一緒にお仕事してくれる元気なお母さんをお待ちしています。
 

2014年4月18日金曜日

森っこプロジェクト フィールドガイド編。

大変、大変、ご無沙汰をしています。佐野です。
何とか生きています。

ここのところ、報告書と企画書と決算に追われていて、気が付けば4月!
のんびりする暇もなく、夏がやってきそうで・・・・
一日一日を無駄にすることなく、しっかりとお仕事していきましょう。

昨年度は環境省より「森で遊ぶコドモと先生を増やす森林環境教育プロジェクト」を受託、小学校と幼稚園へのアンケート調査や、たいせつ幼稚園と協働した森遊びモデルの実施、トランクキットの制作、フィールドガイドの発行、教員研修会の開催など、盛りだくさんのお仕事をさせていただきました。

アンケート調査は教育委員会や旭川市環境部の協力もあり、7割を回収!(すごい) しかも、現場の皆さんの声が伝わる内容で、今後の活動の糧となる素晴らしい情報をいただきました。(アンケート結果は、近日中にWEBで公開します)

たいせつ幼稚園と協働で年間15回の森遊びやものづくりモデルを実施しました。子供たちの表現の豊かさや気づきにこちらが ”勉強になりました” と言いたいほどで、やっぱり、子供は天才ですね。何もない春の森で自分が踏んだササの音を聞き、「葉っぱがお話している。喜んでるよ」と言ったり、シラカバを玉切りしたら、伐り終わったら葉っぱを持ってきて、そこに落ちているオガクズを載せて「持って帰って工作につかう」という子もいました。今年も森遊びは続きます。地元の森に愛着を持ち、森とどう付き合ったらいいのかをしっかりと伝えていきたいと思います。
また、工作ツールも好評で、オガクズをつけたり、色を塗ったり、年少少の3歳児でも上手にできました。たいせつ幼稚園森遊びの様子は、たいせつ幼稚園HP、みんなの秘密基地のコーナーで公開しています。園長先生や先生たちのコラムでも森遊びの様子が出てきます。興味のある方はご覧ください。

旭川の身近な自然とフィールドを紹介する「あさひかわ森っこブック」を発行しました。
デザインは前回に続き、あべみちこさん。こんな感じとかイメージとか言ってるうちに、ササっと書いてしまう。プロはすごい。手にとっただけでワクワクするような冊子になりました。
あべさん、ありがとうございます。




















小学校・幼稚園・保育園に今週配布しました。そろそろお手元に届くころかと思います。
中身をちょっとだけ、公開しますね。

















中でもイチオシは、エゾリス事典!
旭川市博物科学館の南館長に文と写真をお願いしました。
左上はエゾリスの巣穴、初めて見ました。高い木の上にいるそうです。
右下はなんと、ホオヅエをついているエゾリス。これはなかなか無いでしょう。
貴重なお写真、南館長ありがとうございます。

他にもいろんな方に写真やアイディアをいただいてこの一冊が完成しました。
みなさんありがとうございます。

学校で野外学習を進めてもらうための情報を載せた森っこブックですが、ぜひ、欲しいという方がいらっしゃいましたら、差し上げます。
ただ、あと数百部しか残りがないので、複数部はご勘弁を。

そのかわり、というのもなんですが、季節やフィールドの情報は、WEB配信を始めようと思っています。今準備をしているところですので、初夏ぐらいにはUPできる予定です。楽しみにしていてください。

今週はフィールドガイドとトランクキットの宣伝で、色んな方にお会いしました。
よく聞かれるのは、「佐野さんはどうして、こういう仕事を?」 

実は私・・・・旭川で生まれ育ったんですが、インドア派というか、お外遊びは子供の頃から嫌いで、家の中であやとりしてるタイプだったんです。だから、旭川の自然や家具のこと、全く知らない!
もりねっとに入ったきっかけは、会計担当。要するにお金の管理をしていればよかったのですが、活動を見ているうちに、何か魅力を感じてしまって・・・・木工WSや森遊びを企画運営するようになったんです。

という話をします。皆さんとても驚かれます。
でも、何か面白いものを見つけたワクワク感、虫が気持ち悪いというお母さんの気持ちもわかるからできる仕事なのではないかと思います。もしかしたら、森遊びを支援しながら、自分が一番楽しんでいるのかもしれません。


ということで、長くなってしまったので、トランクキット、教員研修会についてはまた後日。

2014年4月17日木曜日

ぴぴの路での樹液&自然観察会

しみずです。



今年の花案内人の勉強会は30名を超えまして、参加者が一番多い年となりました。
ことしのカタクリはこのままいけば、ゴールデンウィーク中に開花が重なるかもしれません。



★5日前の話になりますが、ぴぴの路で比布町と教育委員会共催の「白銀の突哨山ツアー」が開催 されました。もりねっとは協力という形で参加しました。
 
 当日のガイドは、ぴぴの路に熱い思いのある突哨山協議会の澤田さんと木村さん(桐さんは残念 ながら参加できず!)。参加者の中には今日がぴぴの路を初めて歩くという人もいました。
 
 
 大雪山連邦を眺めたり、冬芽の観察をしながら歩きましたが、なんといってもこのイベントの
 メインディッシュは・・・


★シラカバ樹液!です。
 比布町側にある大きなシラカンバから樹液を採集し、採りたての樹液を飲んで楽しみました。  

  ドリルで数センチほど穴をあけ、チューブを差し込むと、すかさずポタポタと樹液があふれてきました。1時間30分ほどで、500mlのペットボトルが満杯に!半日で4リットルはたまるようです。恐るべし。


 ぴぴの路は2011年に比布町と町民の方たちが作った遊歩道です。全て新しい遊歩道ではなく、昔、小学校の遠足などで使われていた遊歩道の一部を復元して作りました。
 開設後は、町民に身近な自然を感じてもらいたく、比布町と一緒に森林の活用を考えてきました。
 少しずつぴぴの路の魅力を伝えていく活動が比布町で始まっています!
 もりねっとは旭川側の指定管理ですが、出来る範囲で協力し、一緒に盛り上げていきたいと思い ます。


 『行政は分かれているけど、突哨山の自然はひとつ』という寺島先生の言葉が胸に響きます。


★気になるカタクリの様子は・・・今晩か、明日にでもカタクリ開花状況をブログで紹介します。




2014年4月10日木曜日

花案内人締切&トランクキット

しみずです。



花案内人の受付を締切りました。
たくさんの応募、ありがとうございました。

13日の勉強会の方は、午前9時30分から
15日に参加の方は、午後6時30分から
会場はいずれも
●「旭川市民活動交流センターcocode」http://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/files/shiminkatsudo/shiminkatsudo/kouryuucenter/
になります。
当日の連絡先は090@9755@0432の清水までお願いします。



★話はかわりますが、
 動植物の標本などを取り揃えた、トランクキットが出来ました。近々ホームページに乗せます。
 まだ色々と付け足していく必要がありますが、とりあえずできました。
 中身等の詳細は、専用のページに詳しく載せる予定です。
 小学校や幼稚園にもっていき、または貸し出して、環境教育の授業のときに使います。
 この前も、小学校にヒグマと、樹木の話をしにいったときも大人気で「森に行きたくなった」「もっと調べてみたくなった」などと、生徒の好奇心を刺激し好評でした。
 

               ヒグマが跳び箱を食べている様子。ではないです。
               たとえば、毛皮や頭骨など、こうした「本物」が入っています。



 そのトランクキットの充実を図ろうと思い、色々と動画を探したり物をつくっているところです。
 ・・・まぁ、やっぱり、一番先に考えるのはコウモリのことでして・・・
 僕もあまりしらない世界のコウモリについて調べていたところ
 
 「キティブタバナコウモリ」と「ニューギニアヒメテングフルーツコウモリ」というコウモリに行きつきました。両種とも実物はもちろん、標本すらみたことないコウモリです。そして日本にはいません。
 キティブタバナコウモリは世界最小の哺乳類といわれており、体長(頭胴長)が3㎝ほど、前腕長が2,1~2,6cm、体重も2gほど・・・とウィキペディアには載ってました。
 こちらも世界最小の哺乳類としていわれている「トウキョウトガリネズミ」は北海道にいます。
 頭胴長が4,5cmほどで、体重が2g未満・・・コウモリとトガリネズミで形態が違うので、何をもって最小とするのが難しいですね。キティブタバナコウモリは、翼を広げると15㎝になるようで、飛んでいるとさほど小さく感じないかもしれませんし。

ウィキのデータを参考にしてフェルトを切って、実物大を作ってみました。
体長と前腕の数値しか乗ってなかったので、あとの部分は写真を見ながら調整しました。


                赤いのはマイクロSDカード(2.5㎝×3.1cm)です。
               ほんとにこんなに小さいのだろうか(笑)
               さらに探してみると、コウモリを掴んでいる写真を見つけた。



            
             それが左の写真。本当にこれが本種なら、
             結構近いサイズになったかもしれない。右はフェルトを丸めて撮影。

とまぁ、これをトランクキットにいれるかは別ですが。


 幼稚園や小学校ではよく、「一番●●なのは何?」とか「●●と▲▲どっちが強いの?」とか聞かれます。一番「大きい」、「小さい」というのは興味があるところなんでしょうね。
男の子はよく強さを聞いてきます。
「ヒグマとワニはどっちが強いの?」
う~ん・・・園庭でヒグマとワニの綱引きでもさせようかな・・・。


※ニューギニアヒメテングフルーツコウモリは、検索すると何が一番かわかります。