7月中旬に遊歩道に出現。鈴をつけるなど注意してご利用下さい
★調査
突哨山とその周辺に自動カメラを10台(もりねっとと比布町が運用)設置し、週1回程度の巡回による映像記録の確認と痕跡の調査を行っている。カメラ設置は男山、南折り返し、カタクリルート、扇の沢、ぴぴの道、北部水路脇、跨道橋など(一部は移動)。
★概況
2019年早春の雪上調査ではヒグマの痕跡はなかったので、冬眠はしていないと考えられる。
自動撮影では6月に9日と30日の2回、比布跨道橋でヒグマの出入りがあった。
7月には2回、突哨山の公園内にヒグマが確認(撮影)された。7月14日後10時36分、カタクリルート3番。19日午後11時41分、ぴぴの道入口付近。いずれも同一個体で、体高80センチ強と推定され、中型の亜成獣とみられる。決定的な特徴はないが、大きさなどから、2018年に現れた2頭のうち、小さい方の個体である可能性がある。
7月下旬以降、8月20日現在、ヒグマに関する情報はないが、入山口の警告プレートはそのまま継続している。
各入山口の情報ボックス内には無償貸出の鈴があり、解説チラシも配布している。遊歩道の2カ所(扇の沢分岐と木もれび分岐)には鐘が吊してあり、随時鳴らせるようになっている。これはヒグマへに人の存在を知らせると同時に、利用者にもクマのことを意識してもらう効果を期待している。
6月9日午前3時22分 跨道橋 |
6月30日午前8時3分、跨道橋 |
突哨山の各入口に追加した詳細情報提供
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■カタクリルートに現れたヒグマへの対応
7月20日夜、コウモリ研修会の際に「カタクリBカメラ」のSDカードを回収。14日夜のヒグマ撮影を確認した。約150m離れたカタクリAカメラには写っていなかった。
21日午前に入山口3カ所のヒグマ情報看板を、通常型(ヒグマについて)から「調査中 一時閉鎖」または「通行止め」に掛け替え、閉鎖ロープを張った。跨道橋の写真データ確認ではヒグマの出入りはなかった。
旭川市公園みどり課とNPOもりねっとが協議し、深夜(午後10時30分)の行動であること、遊歩道をずっと歩いているわけではないことなどから、人目を避けており、人為的な食物に依存しているとも考えられないため、行動判断のステージ0(非問題個体)と考えた。このため、調査や注意喚起、情報提供を強化しつつ、入山制限は当面行わなくてもよい段階であると判断した。
22日、市公園みどり課、突哨山運営協議会、NPOもりねっとの合同現地調査を実施。ヒグマの足跡、フン、食痕は見つからなかった。
同日午後には、「注意 ヒグマ出現」と写真と場所を示した警告プレートを5カ所(カタクリ広場2、扇の沢、突哨山口、村上山口)に追加掲示。閉鎖は解除した。警告プレートは、ヒグマの写真と位置情報とともに、複数での行動や鈴装着などを呼びかける内容。
★ヒグマの侵入経路
2018年に主な通り道だったと考えられる比布跨道橋は今年は6月に2回写っただけで、7月の通過はない。跨道橋以外に高速道路をくぐるルートを見つけていると考えた方が良さそうだ。一帯には農道や町道、水路などのアンダーパスが6カ所ある。
★ヒグマの個体識別
6月30日、跨道橋のヒグマはかなり若く、昨年の「小型」と似ている。
それ以外はいずれも夜間で、周囲との大きさ比較が難しい。
7月14日のヒグマは、周囲の植生との対比で、体高(地上から肩まで)が約84センチと推定された。
★その他
7月中旬に鬼斗牛山麓の休耕田に足跡があるという情報があり、16日に現地調査をしたところ、堆肥の上のタマネギや卵の殻が捨ててある場所に多数の踏み跡が残っていた。計測は不能。男山では6月から7月にかけ、歩道脇に踏み跡が継続的についていたが、カメラ設置の結果ではエゾシカと判明した。
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(山本)