2019年12月12日木曜日

第3回森薪塾 森の見学会


10月23日水曜日、今年の第3回森薪塾「森の見学会」は富良野にある東京大学北海道演習林を訪れました。この日は平日にも関わらず17名の方に参加いただきました。

今回も犬飼技術主任に案内していただきました。(写真右)

まずは森林資料館の見学。樹齢数百年のカンバ類をはじめ、様々な巨木が展示されていました。

こちらはほぼ手付かずの原生林。巨大な木が倒れ、その上から様々な木が芽を出している倒木更新を見ることができました。

 「素材生産」と呼ばれる現場では、木の伐採から集材、採材までを実演していただきました。
伐り倒した木をブルドーザーで引き出してきます。

グラップラーできれいに並べます。

チェーンソーを使って木材として使える部分だけを切り取ります。

  
タブレットを使って、伐り出した木の種類や量を現場で入力していました。データは全て電子化され現場ですぐに確認できるそうです。


はい積みされている木のサイズが違います。



 その後、1981年の台風で大きな被害を受けた森へ。今では当時の写真からは想像もできないほどたくさんの木が生えていますが、ほかの場所と比べるとやはり細い木が多く、暗い場所では成長できないシラカンバが混ざっています。



 最後は見晴台へ。演習林の広さは約22,000haもあります。ここから見えるほとんどの森林が演習林ですね。
 東大演習林では50年以上にわたり「林分施業法」と呼ばれる独自の方法で天然林を管理しています。林分施行法では、樹木の密度や種類、大きさ、天然更新の良否などでいくつかの森林タイプに区分し、伐採や造林を行なっています。
 再生可能な資源の利用と保護を調和させる方法として高い評価を受けているそうです。

 森を所有している方や、これから森を所有して自分で森づくりをしたい、という方が集まった森薪塾の皆さんにはとても充実した時間だったのではないでしょうか。
 ご案内いただいた東大演習林の方々、本当にありがとうございました。

(中村)

もり薪まつり2019


9月22日日曜日、今年も「もり薪まつり」を開催することができ、たくさんの方に遊びに来ていただきました。

 恒例の薪割り体験。スパンと割れた時には爽快です。大人も子供もやみつきになります。

そして、チェンソー体験。昨年から導入したバッテリー式の電動チェンソーはエンジンを掛ける必要がないので女性でも簡単に扱えます。同じぐらいの大きさのエンジンチェンソーと比べてもそれほどパワーは劣りません。

 今年もご協力いただいた(有)田村商事さん。チェンソーの整備相談をしているうちに、来場者の方の刈り払い機を調整していただきました。ありがとうございました。


  いつも行列の絶えない「もりカフェ」のピザ窯。今回は市販の冷凍ピザにチーズやウインナーを好きなだけトッピングして焼いてみました。


 今回は新たに設置した焚き火コーナー。焚き火の中にあるサツマイモやジャガイモを自分で見つけて取り出してもらいました。重要なのは焼けてるか焼けてないかの判断です。アルミホイルの上から軽くにぎって、どのぐらいの硬さが適当なのか見極めなければなりません。多少、生焼けでも焚き火で焼いた焼き芋はみなさん「おいしい!」と言って食べてくれました。



 こちらも恒例となりました薪ストーブ足湯です。今年は(株)本田技術研究所さんからPHEVクラリティが応援に来てくれました。プラグインハイブリッド車から電源を取り、足湯のポンプを回しています。


 こちらは子供に大人気第2位のクラフトコーナーです。市内の家具屋さん「(株)コサイン」さんからいただいた端材を使って、思い思いの作品を作っています。いろんな形の木をボンドでくっつけて、目玉をつけたり、色を塗ったり。自由で個性的な作品ばかりでした。


 そして、子供に大人気第1位はやっぱりツリーイングでした。今年も旭川ツリーイングクラブさんにご協力いただきました。ロープを使って自分の力で登っていきます。小さな子でもかなり上まで登ることができます。みんなとっても楽しそうです。

 今年のもり薪まつりには140人もの方にご来場いただきました。わざわざ会場まで足を運んでいただいた方々、そして開催にご協力いただいた皆様。おかげさまで大盛況となりました。本当にありがとうございました。
 こうして森の恵みに触れて「楽しい!」「おいしい!」を体験することで、自然に親しむ心、森を大切にする心が育まれていくといいですね。

(中村)

第2回森薪塾 森を育てる間伐1



9月8日日曜日、今回の森薪塾のテーマは「森を育てる間伐1」です。今回は8名の方に参加いただきました。旭川市内の方が3名、札幌市から2名、赤平市から1名、さらに遠く中標津町からご夫婦で参加された方もいらっしゃいました。

  まずは作業道を造成し、針葉樹と広葉樹の混交林化を図っている60年生のトドマツ人工林を見学しました。ここの森の作業道は斜面と平行に走り、道の間隔はおよそ50mに設定されています。高さ20mの木をうまく倒すと作業道から引き出しやすい間隔になっているんです。この森は皆伐をして植え直すという人工林のサイクルではなく、多めの間伐によって広葉樹を増やして、持続的な針葉樹と広葉樹の混交林に変えていくことを目指しています。間伐によって残されたトドマツが太くなり、同時に林床に太陽光が入ることでイタヤカエデやハリギリ、ミズナラなどさまざまな広葉樹の幼木・若木が茂り始めた様子を見ることができました。「伐ることで森を育てる」という、間伐で森が動き出す様子を実感しました。


次に間伐トレーニングを行うトドマツ人工林に移動しました。ここの森は長期間間伐されていないため、樹齢は50年と先ほどの森とは10年ほどしか違いませんが、林内の様子は全く違います。全体に薄暗く、生えている木は明らかに細いです。また林床に日が当たらないためほとんど何も生えていない状態です。上の写真と比較するとよく分かります。


 ここの森でも、先ほどの間伐されたトドマツ林と同じように、間伐によって残された木を育成し、さらに林床に日が当たるスペースを作ることによって、広葉樹の発芽を促します。そうすることで将来的には針葉樹と広葉樹の混ざり合った針広混交林を目指します。

今回は初めて参加される方もいらっしゃったので、初心者チームと経験者チームに別れて研修を行いました。初心者チームはチェンソーの基本的な扱い方から。経験者チームは早速間伐の作業に入ります。

経験者チームでは、まずは伐る木を選ぶ選木を行います。選木では、間伐のためにどの木を伐るか、を決めるためにまずは残す木を選びます。この森の将来を託せる元気な木を選び、その木の成長の妨げとなっている木を伐ります。


 伐る木が決まったら、いよいよ伐倒です。今度は伐る木をどの方向に倒すかを見極めます。こういった間伐遅れの混み合った森で、周囲の木にかからないように方向を決めるのはとても難しいです。
 倒す方向が決まったら、チェンソーで受け口を作ります。受け口は倒す方向と直角に作らなければなりません。慎重にチェンソーの角度と切り込みの深さに注意しながら切りすすめます。受け口ができたら反対側から追い口を切っていきます。追い口はチェンソーの刃が水平に入らなければなりません。そして最終的に木の直径の10分の1のツルを残します。ツルはちょうつがいの役目を果たし、木が倒れる方向を制限します。


 今回は周囲の木にかからずに、うまく狙った方向に倒れました。
木が倒れたら枝を払います。伐った木を搬出し利用する際に邪魔な枝を切り落とします。一見地味な作業ですが、慣れないとかなりの重労働です。重量のあるチェンソーを枝の角度に合わせて動かしながら枝を切り落としていきます。


 今回は経験者チームで一人約3本。今までチェンソーをほとんど扱ったことのない初心者チームでも木を倒すことができました。

最後はみんなで反省会。それぞれの感想を共有しました。みなさんの感想は以下の通りです。
「3本倒す目標でしたが、1本でへばりました。」
「やればやるほど奥が深く、楽しかったです。」
「枝払いがとても疲れました。疲れた時は危険だと感じました。」
「初めてチェンソー使ってみて怖かったです。うまくできず悔しかったのでまたきたです。」
「森を見て、どの木を残すかの判断が難しかった。勉強になりました。」など。

 みなさんそれぞれ、森薪塾に参加されるきっかけは様々ですが、このような講習会に参加されることで、「森づくり」の奥深さやおもしろさ、そしてその意味が少しでも伝わるといいなと思いました。

次回は10月、第3回森薪塾「森の見学会」です。

(中村)