森薪塾の第1回目は本格的な立木(りゅうぼく)の伐倒体験です。
旭川市東鷹栖の私有林「ポンヌプリ」をフィールドに、まずは高密度に造成された作業路網の様子と、それを活用した間伐の効果を見学しました。
ポンヌプリのトドマツ林では15haに約3000mの作業路網が造成されています。作業路は幅2.5m、勾配(傾斜)は12度前後とほぼ一定で、歩くのも楽です。
森全体をカバーするように設計された路網は、大半の木を道からすぐ引き寄せられるようになっており、コストを抑え、森を傷めずに丁寧な間伐・択伐ができます。
実際、歩いてみると、木と木の間がほどよく開いていて、とても気持ちの良い森です。広葉樹が点在し、「森の将来を考える」が実感できました。
ヤマブドウやコクワなど、木に絡みつくツルが目立ち、塾生からは「ツルは残す? 切る?」と質問が出ました。ツルがらみは伐倒の際に方向が狂って危険だし、枝折れ、幹損傷の原因にもなります。多くの林業家は片端から切りますが、動物の貴重なえさ場という側面もあり、この森では林縁(外側)に面したところのツルは残しているそうです。
さて、伐倒訓練の場所は40年生の混み合ったトドマツ林です。枝葉が茂って空が見えず、うす暗い林床に植物がほとんど生えていません。
第1段階は、この森の将来を託す「一番」の木を決め、それとぶつかっている木を間伐対象に選びます。木の元気さや位置関係、形質などをよく見て、2人1組で「将来を担う木」を決めます。すると伐採木はすんなり選べます。思ったより太い木を間伐することになりました。
第2段階は伐倒基礎です。まずは一度倒した伐根で、受け口を作り、追い口を切って、正確に倒す切り込みの練習です。チェンソーを斜めや水平に支え、切り口をうまく合わせるのは結構難しいものです。「本や動画でも理解できなかったが、自分でやるとわかる」という声の一方、「わかってもできないねえ」という人も。そりゃそうですよ。
第3段階は、いよいよ立木の伐倒。枝の張り具合や幹の傾きも見て、倒す方向を決めます。北欧式伐倒の特徴は、切る手順も独特ですが、「初心者が間違えても、決定的な危険に至らない」という安全優先の思想が技術に反映されているところです。
立木を切るのはほぼ全員初めてでしたが、皆さん、狙い通りに倒すことができました。倒した後は、ぽっかりと明るい空が広がりました。まだまだ奥は深いのですが、これで「森を読み、手を入れる」という山主への一歩を踏み出せました。
(山本)
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